入院した当時は苦しくてこのままいつまでも病院で過ごしたいと思うのだが、そこそこ元気になり治療の必要もなくなると病院側は「自宅に戻りますか」と尋ねてくる。こちらもどうしても必要だと思えない点滴でベッドに寝ているだけの生活に飽きてくる。帰ってもいいか、と思うものの前回みたいに突然に倒れて救急車で運ばれるのは御免だ、と思うから簡単に「帰ります」と返事はできない。食事も管理されたものが出るからこれも薬と完食するが、我が家だときっと食べる量が減ってきて弱ってくるだろう。また薬も薬剤師さんがチェックしていてくれて、変えたほうが良い場合はその説明に来られて変更する。そういった点で病院にいれば安心して日々が過ごせる。しかし帰りたいと思う気持ちは増してくる。
朝の回診に来られた主治医の先生にいろいろ尋ねる。救急車で運ばれて輸血を受けてから3週間近く近くなる。血液の造血機能はおとろえつつあるようだが、その他の臓器は丈夫で問題はなさそうだ。では、もう一度輸血をして症状に問題がなさそうなら帰宅を考えましょうということになった。前回の輸血は1袋だったのだが、数値的にはまだ下回っているとのこと。だからやはりめまいは完全になくなっていなくて、トイレまではなんとか歩けるようになったが歩き回れるまでに回復していない。だから2袋輸血しましょうかと提案された。前回の輸血の経過から問題はないということなので「お願いします」となった。採血をして検査後に輸血となり、それを待つ間に突然、なにかと相談に乗っていただいている緩和ケアチームの方が来られた。
何度もホスピスの部屋への転院を打診しながらも、空きがなく許可が出なかった病院から、「キャンセルが出たので明日転院できるかと連絡がきたが、どうされます?」とのこと。このチャンスを逃すと次はわからないので即座に「行きます」と答えた。で、「輸血はどうする?輸血して元気になってしまうと返されるのだろうか」という話になったが、予定通りしてもらうことにした。
翌朝再度採血をして、輸血後のデータも含めたデータや書類の袋と共に、妻の運転で退院からそのまま転院先の病院へ向かった。1週間ほど前の一時帰宅の時は妻の車いすで車まで運んでもらった。輸血をしなければ同じように車いすが必要だったはずなのに、十分な量の輸血をしたおかげで、部屋から車まで、歩いて乗り込むことができた。